十年知による十四年後の自由活動

研究を志し、成果を出すには、10年かかった。私は複数の分野を研究していたが、驚くことにどの分野でもそうだった。まるで10年かけると脳がピキッと言って新しい知見に生まれ変わるように。15歳に志したのなら、大学院で博士を取るころが10年後だ。こんなに順調に進んだところで、どうという気もするけれど。そして、最近特に思い知ったのが、俗に言われる、1万時間の法則である。すなわち、凡そ14年経つと、知識が知恵に熟成され、自由に発想して生活できるのだ。21歳で卒業したのなら、35歳である。

私が大学院を出たのが26歳で、1万時間はちょうど39歳の今に当たる。というのは、実は今、自分で豆乳ヨーグルトを作って食べている。ベランダで、玄米と塩と黒糖を使って、日向に置いて液を作り、豆乳を混ぜて常温でほっとくのである。体調がすこぶる良く、多分に胃腸細胞が若返っている。免疫が強くなった確たる感じがするのである。また、化粧水の代わりを糠床から作っている。ローズマリーや蜜柑の葉など、エキスとして追加したい植物片を糠床に入れ、発酵させ、手についた糠の洗い水を日向に置いて作った液を、塗布してワセリンで覆う。さらには、整髪料も油分と水飴で作ったのを使っている。歯磨き粉も、食塩とフラクトオリゴ糖で口をすすいで済む。

理論が身につくには、14年かかる、ということだろう。学んでおいて良かったと心から思う。まず、節約になる。知識があるので、買い物が不要になる。私の場合は生物分子界隈だったけど、きっとどの分野でも言えることだ、私が情報機器にお金を費やさないのも同様である。また、何の困難もなく続けられる。2年間習慣にして毎日実験に勤しんだのだから、昔とった杵柄だ。そして、新しい情報を理解してすぐ実践できる。豆乳ヨーグルトの作り方は、Xで回ってきたポストを元に実行したら、案の定、物ができた。とても自由だと思う。真理は人を自由にする、とはこのことだ。

今はすぐに役立つ知識ばかり持て囃され、2年も続けられない人が多いという。石の上にも三年、も死後になりつつある。しかし、おそらくは脳の構造上、10年食いしばれば一定の知識がつき、14年すれば身について自由になる。何の勉強でも習慣でも愛情でもそうだ。というのは、私と妻は出会って13周年となるのだが、そろそろ関係も成熟し、互いを静かに認める関係になった。会話こそ少ないが、相互理解は強く深いものがあると感じる。詳しく理解した気にはなれないのだが、一緒に生活する上で妻ほど心地よい人はいない。最高の伴侶である。その証拠に、今が最高!と妻は何度ポストしていることか、ということなのである。

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