楽しいことがないという人に偶に出会う。出会す、という表現のほうがしっくりくる。なぜなら、そう訴えるのは中年だからだ。子供も若者も、楽しいことなどすぐ見つけられる。楽しむことを早く学んだほうがいい時代であるかのように。それで新卒の薄給では碌に物が買えないなどと思って、変なビジネスに参入する輩もあるが、安価な物でも充足すると知っていたら充分考えていたことを実行に移せる。
低予算で楽しむために、削るべきところを知ることが大切だ。その例として、関心が強い美容で言うと、洗剤類は重曹で自作すればよい。これは化学科卒の投稿などでよく知られた生活の知恵であり、昔からある。すなわち、洗濯用は33~50%、食器用は16%、浴槽用は5~8%、便器用は3%に、重曹を薄めて使えばたいていの汚れはきれいになる。油脂系の汚れも、中性洗剤1%の液を泡ボトルに詰めて噴射して放置すれば簡単に拭いて済む。つまり、知っていれば洗剤類は重曹と少々の中性洗剤で済むから、日用品費がまず削減できる。
次に、糠床を持つと節約になる。というのは、糠床に入れた手を洗った水を流さず鉢にでも取っておいて、それを1~3日間日向に置くと、上澄み液は美容液になっている。化粧水も乳液も不要になる。日常的には、その上澄みを塗った後に、米粒大のワセリンを塗れば、どんな肌もたいへんうつくしくなる。応用として、糠床に、ローズマリーやみかんの皮や茶葉や唐辛子など、エキスとして期待したい植物類を一緒に混ぜて発酵させると、その薬効の入った美容液ができる。炒糠はドラストで500g百円が相場だ。
もう一つ言及するならば、肌着である。敏感肌から脱出するためには、化繊を肌に触れさせないことが基本である。温度調節インナーは、鈍感肌のためのもので、健康的な生活を送っている人には向かないどころか、肌が荒れに荒れる。綿100%ないし8割以上の肌着に替えるだけで、ぼろぼろの敏感肌はさらさらの美肌に変わる。これでボディクリームや皮膚科診療代や、喘息等のアレルギー対策費も不要になるか節約できる。綿の肌着はあったか綿ややわらか綿やガーゼ綿など、各社で工夫を凝らしているが、高価でもない。
このように、知識があるだけで生活費が抑えられ、健康にもなり、問題が解消するので、時間もお金も健康も、もっと別の活動に使えるのである。暇が多すぎるくらいになる。私の観測では、楽しいことがない理由は、楽しさが薄いまま、楽しいとされることを、むしろずっと浴びているからで、楽しみの濃さが無い。平坦平板な日常に陥っているためだ。世界も自然も人間も、かくまでこんなに複雑なのに、その実相を知らせてくれる配信者がいないのだろうか。いな、見つかっていないだけである。SNSのアルゴリズムは人を選ぶ。有益な情報を投稿すると、人の有益な投稿がみられる。だいたいのSNSはそうなっている。情報は役立つものなので、関心に引き寄せた情報が届く、だけであるが。
私はいま、4年ぶりに投資を始めた。時価総額が高く、高年収の黒字企業の株式を、1株ずつ購入している。これは、私の経済理論の観察によって編み出した投資術である。実に20年弱かけた理論に基づいている。しかし、私は、この理論を個人部録で無償で公開した。面白い理論だと思ったからだし、人に益すること請け合いだろうなと考えたからだ。つまり、本や情報は、考えた人はこういった心持で売ったりあげたり教えたりするものなのだと私は思う。私は情報理論と有機化学と情報整理に学んだ人材である。学問研究の背景である。飽きもせず20年余り研究に費やしてきたし、余念もあるからこのような記事も書き果せてしまう。これだけでこんなにも楽しいから、別に収益がなくても、書いて遣ってしまいたいのである。