健康習慣の目的論

健康でいるための方法が山ほど流れる現代.どの情報が本当かわからない,片っ端から試してみたい,そういう動機で好奇心から動く人も多くあると思うけど,健康業界でも議論が分かれる点もたまに出くわす.例えば,朝食をとるべきか.朝にバナナを食べると,セロトニンが上がり夜よく眠れるようになるが,太るという意見もある.そもそも朝食を食べると12時間断食が成立しないので,身体のデトックスが進みにくくなるという知見もある.

そもそも,どの情報を受け取るべきかわからない人は,どんなふうになりたいか,どのように生きたいか,という目的が欠けているのではと思う.体型よりも気分の安定を重視する人は,朝散歩して入浴しバナナを食べたらいい.太らないことを重視する人は,朝食を抜いて糖質もそれまでの半分以下に制限すればいい.万能の方法がない問題については,自分の方針を決めてそれを実践したらいい.食事を制限なく楽しみたい人もいるし,万能の方法が出るまで待つ人もいるだろう.

タバコがなぜいけないかと言えば,その影響が自分以外に及ぶ行為だからだ.副流煙である.逆に,食事法や運動については,他人に影響なく,むしろ自己責任の世界だ.自分でどうにかできる,自己コントロールできる,そういう次元の問題だ.コロナ禍での感染も,健康を自分で守るためにマスクする面と,人に染さないためにする面がある.特に後者の方が人によっては優勢なので,マスクする人があるのだ.染した時の責任もあるだろうし,倫理的な判断だと思う.

これらの領域は,万人の常識ではない.タバコを吸う人も常識が足りないのではなく,タバコを吸う人生を,人から煙たがられない人生よりも選んだのだ.その人の決断を信じよう.また,自分の目的を人に強いないようにしよう.自分で決めた目的は,世の中の常識では決してない.そもそも長生きを望まない人も多いものだ.食事や酒を楽しみたい人も多いだろう.どの場合も個人の意思が尊重されるべきで,それが衝突する場合だけ,議論する余地がある.個人の目的を重視したいとそう思う.

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